鶴見神社:横浜・川崎間最古の神社に秘められた歴史と伝説

神奈川県横浜市鶴見区に鎮座する鶴見神社は、横浜と川崎の間で最古の神社とされ、その歴史は推古天皇の時代(7世紀初頭)にまで遡ると伝えられています。古くは杉山大明神と呼ばれ、約1400年の歴史を誇る由緒ある神社です。1920年(大正9年)に現在の「鶴見神社」と改称されました。

由緒と歴史:

  • 創建の謎: 創建は推古天皇の時代と伝えられていますが、境内からは弥生時代後期から鎌倉時代にかけての祭祀遺物が多数発掘されており、それ以前から神聖な場所として崇められていた可能性を示唆しています。横浜・川崎間最古の神社であることが考古学的にも裏付けられています。
  • 杉山大明神から鶴見神社へ: かつては「杉山大明神」と呼ばれ、鶴見川流域に広がる杉山信仰の中心的な存在でした。『続日本後紀』には、承和5年(838年)に杉山神社が官幣を預かるほど霊験あらたかであったことが記されています。江戸時代の国学者、黒川春村は、鶴見神社に伝わる田遊びに関する『杉山明神神寿歌釈』を著しています。
  • 鎌倉将軍の参詣: 鎌倉幕府4代将軍、源頼経(九条頼経)が仁治2年(1241年)に参詣し、自身の成長を願って4本のケヤキを奉納したという伝説が残っています。昭和37年に枯死した際、根元からは多数の祭祀遺物が発掘され、神社の長い歴史を物語っています。
  • 社殿の変遷: 社殿は幾度かの火災や改築を経て現在の姿となりました。1753年(宝暦3年)の再建、1853年(嘉永6年)の改築、そして1911年(明治44年)の火災による全焼と1915年(大正4年)の再建など、歴史の波を乗り越えてきました。
  • 鶴見の田祭り: 鎌倉時代から伝わる「鶴見の田祭り」は、神社の重要な年中行事です。春の田起こしから秋の収穫まで、米作りの過程を表現した「田祭り神寿歌」が奉納され、地域住民の信仰と生活に深く根付いています。明治4年以降途絶えていましたが、昭和62年に復活し、現在も毎年4月29日に行われています。

伝説とミステリー:

  • 鶴見の地名の由来: 源頼朝が富士の裾野で巻狩をした際、千羽の鶴に金の短冊を付けて放ったところ、この地に飛来して住み着いたという伝説があります。多くの見物客が訪れたことから「鶴見」と呼ばれるようになったと伝えられています。
  • 草薙の剣伝説: 日本書紀に記される「草薙の剣」を盗み出し、新羅に逃げようとした僧の船が難破し、この地に辿り着いたという伝説も存在します。盗賊が剣を投げ捨てたという記述から、「ツルギ」が「ツルミ」に転訛したという説もあります。

境内と見どころ:

  • 二社相殿: 本殿は杉山大明神(五十猛命)と天王宮(素戔嗚尊)の二社相殿となっています。
  • 横浜最古の神輿: 天王宮には、鶴見川に流れ着いたとされる横浜最古の神輿が安置されています。
  • 富士塚: 境内には富士塚があり、富士山信仰の名残を感じることができます。鎌倉時代の源頼経が奉納したと伝えられています。
  • 鶴見神社境内貝塚: 横浜市指定史跡である貝塚は、弥生時代末期から古墳時代前期のもので、神社周辺に集落が存在していたことを示しています。

アクセス:

JR鶴見駅東口から徒歩約8分、または横浜市営バス・川崎鶴見臨港バス鶴見神社前バス停から徒歩約3分です。

鶴見神社は、長い歴史と数々の伝説、そして地域住民の信仰が深く結びついた、魅力的な神社です。訪れる際には、歴史を感じながら境内を散策し、静寂の中で神聖な空気を味わってみてください。

関連リンク・参考文献

[1] ホーム | 鶴見神社【川崎・横浜間最古の神社】
[2] 鶴見神社の歴史 | 鶴見神社【川崎・横浜間最古の神社】
[3] 鶴見神社 / 神奈川県横浜市 | 御朱印・神社メモ
[4] 鶴見神社でお宝がザックザク!? ご神木の根元から発掘された「秘宝」の正体とは? – [はまれぽ.com] 横浜 川崎 湘南 神奈川県の地域情報サイト
[5] 鶴見神社
[6] 鶴見神社 (横浜市) – Wikipedia
[7] 九条頼経奉納の杉山大明神の富士塚(1)(横浜市鶴見区 鶴見神社富士塚) | 滋味コフン
[8] 横浜市鶴見区に鎮座する市内最古の神社「鶴見神社」をご紹介|横浜市神奈川、川崎の不動産物件ならアリアにおまかせください!

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