高知県高知市一宮しなねに鎮座する土佐神社は、土佐国一宮であり、式内社(大社)として古くから崇敬を集めてきた由緒ある神社です。現在の社格は神社本庁の別表神社。JR土佐一宮駅から徒歩約15分、または高知駅からバスで「一宮神社前」バス停下車すぐとアクセスも良好です。
歴史と伝説:
土佐神社の創祀年代は詳らかではありませんが、古くは境内東北部に位置する「礫石(つぶていし)」と呼ばれる自然石を磐座として祀っていたと推測されています。この礫石の由来については、須崎市浦ノ内にある鳴無神社に伝わる伝説が興味深いものです。鳴無神社にいた神様が、より良い場所を求めて石を投げたところ、土佐神社の地に落ちたというのです。約56kmもの距離を石が飛んできたというこの伝説は、神様の力強さと土佐神社の聖なる場所としての性質を象徴的に物語っています。
また、『続日本紀』には「高鴨神」が大和の葛城山で雄略天皇と争い、土佐に流されたという記述があり、この高鴨神が土佐神社の祭神であるとする説があります。しかし、この記述と、一言主神に関する他の伝承には矛盾点があり、祭神については諸説あります。現在では、味鋤高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)と一言主神(ひとことぬしのかみ)の二柱が祀られています。
平安時代の『延喜式』神名帳には「都佐坐神社」として式内大社に列せられ、土佐国唯一の大社として、皇室からの崇敬も厚かったと伝えられています。鎌倉時代には「土佐国総鎮守一宮」となり、神仏習合の時代には「土佐高賀茂大明神」と呼ばれていました。
室町時代以降は武門からの崇敬が篤く、戦国時代の武将、長宗我部元親が本殿・幣殿・拝殿を再建。江戸時代には土佐藩主山内氏も社殿の造営や整備に尽力しました。長宗我部元親によって再建された現社殿は、「入りとんぼ」と呼ばれる珍しい建築様式で、神社建築としても高く評価されています。
見どころ:
- 楼門(神光門): 江戸時代前期に山内忠義が建立した楼門は、国の重要文化財に指定されています。素木造りの重厚な造りが印象的です。
- 社殿: 長宗我部元親が再建した本殿、幣殿、拝殿は「入りとんぼ」という独特の建築様式で造られており、国の重要文化財に指定されています。
- 礫石(つぶていし): 境内にあるこの巨石は、古代から磐座として祀られてきたとされ、パワースポットとして人気を集めています。
- 鼓楼: 山内忠義が建立した鼓楼は、内部に太鼓が吊るされており、かつては時を告げる役割を果たしていました。
- しなねの森: 社殿の奥に広がる広大な森は、樹齢数百年の杉や檜が茂り、神聖な雰囲気に包まれています。
ご利益:
土佐神社では、開運招福、家内安全、商売繁盛、交通安全、心願成就など、多岐にわたるご利益があるとされています。
アクセスとその他:
土佐神社は、公共交通機関でもアクセスしやすい立地にあります。また、無料駐車場も完備されているため、車での参拝も可能です。境内には、夏祭り「志那禰祭」で賑わうなど、地域住民との繋がりも深く、今もなお人々の信仰を集める、高知を代表する神社と言えるでしょう。 NHK大河ドラマ「龍馬伝」のロケ地にもなったことから、歴史ファンにも人気のスポットです。
関連リンク・参考文献
[1] 土佐に流刑に処され、祭神となった一言主の神話と賀茂氏の呪術|webムー 世界の謎と不思議のニュース&考察コラム
[2] 土佐神社 [高知県]-人文研究見聞録
[3] 土佐神社:鎮守の森を歩こう|私の森.jp 〜森と暮らしと心をつなぐ〜
[4] 土佐神社 – Wikipedia
[5] 石を投げ飛ばした神様~土佐(とさ)神社 | ことあんじー、祈りの旅にようこそ
[6] 土佐神社
[7] 「一領具足」の精神!
長宗我部元親が残したもの | モデルコース | 高知県観光情報Webサイト「こうち旅ネット」
[8] 土佐神社(しなね様) | 観光スポット検索 | 高知県観光情報Webサイト「こうち旅ネット」
[9] 土佐神社 – 偲フ花
[10] 0231 大河ドラマ龍馬伝ロケ地、高知最古「土佐神社」(高知県)|弥栄(いやさか)