標高1107mの霊峰に鎮座する山住神社:徳川家康と犬の伝説、そして神秘の宝物

静岡県浜松市天竜区水窪町山住山、標高1107mの山住峠に鎮座する山住神社。古くは山住大権現と呼ばれ、和銅2年(709年)の創建と伝えられる歴史ある神社です。県社に格付けされ、大山祇神社の御分霊である大山祇神を祀り、県境を越えて多くの参拝者が訪れます。

歴史と伝説:徳川家康と犬の恩返し

709年の創建以来、山住神社は地域の人々の信仰を集めてきました。特に有名なのが、徳川家康と犬にまつわる伝説です。元亀3年(1572年)、三方ヶ原の戦いで苦戦した徳川家康。その時、多くの犬が敵を威嚇し、家康を守ったと伝えられています。この伝説から、山住神社では「お犬様信仰」が盛んで、神札には山犬(狼)が描かれています。山犬は猪や鹿を退治する守り犬として、農作物の守護神としても崇められています。この伝説は、神社の神秘性を高め、人々の信仰をより深く結びつけています。

神秘の宝物:歴史を語る数々の遺品

山住神社には、数々の貴重な宝物が伝えられています。徳川家康が奉納した剣を含む四振の剣、二面の御鏡、そしてなんと『日本書紀』三十巻!さらに、小松宮彰仁親王の御真筆による扁額も所蔵されています。これらの宝物は、山住神社の歴史と深い信仰の証であり、訪れる人々に歴史の重みと神秘的な雰囲気を感じさせます。これらの宝物の多くは、一般公開されていない可能性がありますので、事前に神社へ確認することをお勧めします。

自然と一体となった聖地:二本杉と絶景

神社境内には、樹齢約1300年の老杉が二本並んでそびえ立ち、静岡県天然記念物に指定されています。この二本杉は、山住神社のシンボルとして、古くからの信仰と自然の息吹を感じさせてくれます。また、山住峠からの眺望は素晴らしく、雄大な自然に囲まれた聖地として、多くの観光客を魅了しています。歌人釈迢空(折口信夫)もこの地を訪れ、その美しさに感動して歌を詠んでいます。その歌碑も境内で見ることができます。

現代への繋がり:民間信仰と例大祭

山住神社の民間信仰は現在も盛んで、商売繁盛、家内安全、病気平癒、交通安全など、様々な願いを込めて参拝する人が全国から訪れます。毎年4月17日と11月17日には例大祭が開催され、県内外から多くの参拝者でにぎわいます。

アクセスと情報

山住神社は、公共交通機関でのアクセスが不便なため、車でのアクセスが推奨されます。事前に神社のウェブサイトや関係機関に問い合わせて、開門時間や参拝方法などを確認することをお勧めします。

山住神社は、歴史、伝説、自然、そして信仰が一体となった、魅力あふれる聖地です。ぜひ一度、この神秘的な場所を訪れてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 山住神社 | 浜松情報BOOK
[2] 山住神社[浜松市天竜区]|静岡新聞アットエス

By ando