古都奈良、生駒市に鎮座する往馬坐伊古麻都比古神社(いこまにいますいこまつひこじんじゃ)。通称「往馬大社(いこまたいしゃ)」として親しまれるこの神社は、生駒山を神体とする古社であり、悠久の歴史と神秘的な火祭りを今に伝える、魅力あふれる場所です。
基本情報
- 所在地: 奈良県生駒市壱分町1527-1
- 主祭神: 伊古麻都比古神(生駒山の神)、伊古麻都比賣神(生駒山の神)、気長足比賣命(神功皇后)、足仲津比古命(仲哀天皇)、誉田別命(応神天皇)、葛城高額姫命(神功皇后の母)、息長宿禰王命(神功皇后の父)
- 旧社格: 県社
- 式内社: 『延喜式神名帳』に「伊古麻都比古神社二座」として記載
- 例祭: 10月第2日曜日(火祭り)
- 特徴: 生駒山を神体とし、大嘗祭に用いられる火燧木を献上する伝統を持つ。境内は奈良県指定天然記念物である鎮守の森に覆われている。
歴史と伝説:生駒山の神々と天皇家の深い繋がり
往馬大社の創建年代は不明ですが、雄略天皇の時代(5世紀後半)に創祀されたという説があります。古くは伊古麻都比古神と伊古麻都比賣神の二座でしたが、後に八幡神を合祀。生駒谷十七郷の氏神として崇敬を集めてきました。
特に注目すべきは、大嘗祭との関わりです。大嘗祭で用いられる浄火を起こす火燧木(ひきりき)を、往馬大社が代々献上してきたという歴史があります。これは、生駒山が古来より聖なる山として崇められてきた証と言えるでしょう。 『北山抄』『元要記』『亀相記』などには、当社の神が「火燧木神」として記されている記述も見られます。天皇即位礼における重要な儀式に、生駒山、そして往馬大社が深く関わっていたことがわかります。
神秘の火祭り:上氏子と下氏子の熱き戦い
10月第2日曜日に開催される火祭りは、往馬大社の最大の見どころです。上氏子と下氏子に分かれた氏子たちが、神輿を担ぎ、火を競い合う壮大な祭りです。 「勝負祭り」とも呼ばれるこの祭りは、氏子たちの熱気と一体感、そして神聖な火の輝きが織りなす、圧巻の光景です。 古くからの伝統が息づくこの祭りは、生駒の秋を彩る、忘れられない体験となるでしょう。
見どころ:鎮守の森と貴重な文化財
往馬大社の境内は、広大な鎮守の森に覆われています。この森は、奈良県指定天然記念物に指定されており、太古から変わらぬ自然が息づいています。 静寂に包まれた森の中を散策すれば、神聖な空気に触れ、日頃の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。
また、神社には数々の文化財も残されています。 生駒曼荼羅図など、歴史的価値の高い美術品は、往馬大社の歴史と文化の深さを物語っています。
アクセスと周辺情報
往馬大社へのアクセスは、近鉄生駒線「生駒駅」からバスを利用するのが便利です。 周辺には、生駒山や信貴山など、自然豊かな観光スポットも点在しています。 生駒の豊かな自然と歴史に触れながら、一日を満喫できるでしょう。
往馬大社は、生駒山の神々を祀る古社として、悠久の歴史と伝統を誇ります。 神秘的な火祭りや、静寂に包まれた鎮守の森、そして貴重な文化財の数々は、訪れる人々に忘れられない感動を与えてくれるでしょう。 ぜひ、生駒を訪れた際には、往馬大社に足を運んでみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 往馬大社|奈良県観光[公式サイト] あをによし なら旅ネット|生駒市|生駒・信貴・斑鳩・葛城エリア|神社・仏閣|神社・仏閣
[2] 【往馬大社】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet
[3] 往馬坐伊古麻都比古神社 – Wikipedia
[4] 往馬大社 | 生駒市デジタルミュージアム