大阪府枚方市中宮西之町に鎮座する百済王神社(くだらおうじんじゃ)。その名前にまず惹きつけられる方も多いのではないでしょうか。 「百済王」とは一体何者だったのか?そして、この神社にはどのような歴史と秘密が隠されているのでしょうか?今回は、百済王神社の魅力を余すことなくご紹介します。
基本情報
- 所在地: 大阪府枚方市中宮西之町1-68
- 祭神: 百済国王、進雄命(江戸時代までは牛頭天王)
- 旧社格: 村社
- 創建: 不詳(奈良時代と推測)
- アクセス: 京阪交野線宮之阪駅下車徒歩約10分、または京阪本線枚方市駅から京阪バス「中宮病院前」下車徒歩約100m
百済王氏と東大寺大仏の黄金
百済王神社は、古代朝鮮半島にあった百済(くだら)王族の末裔である百済王氏を祀る神社です。百済滅亡後、日本に渡来した百済王氏は、朝廷から「百済王」の姓を賜り、様々な役職に就きました。
特に有名なのが、百済王敬福です。彼は陸奥国守として赴任した際、現在の宮城県黄金山神社付近で大量の黄金(900両)を発見し、朝廷に献上しました。この黄金は、東大寺大仏の造立に際し、金箔の不足を補うために使われたと言われています。敬福の功績は大きく、従三位宮内卿・河内守にまで昇進し、難波から河内(現在の枚方市周辺)に移り住み、百済王神社と百済寺を創建したと伝えられています。この黄金発見と献上は、百済王神社の歴史において重要な出来事であり、神社の由緒を語る上で欠かせないエピソードです。
隣接する特別史跡・百済寺跡
百済王神社の隣には、特別史跡に指定されている百済寺跡があります。百済寺は、百済王氏の氏寺として創建され、かつては伽藍が壮大だったと推測されています。現在も発掘調査が続けられており、今後、史跡公園として整備される予定です。神社と百済寺跡を合わせて見学することで、百済王氏ゆかりの歴史をより深く理解することができます。
春日造の本殿と謎めいた歴史
百済王神社の本殿は、春日造という様式で、檜皮葺の美しい建物です。実はこの本殿、奈良の春日大社と深い関係があり、春日大社から移築されたものと言われています。なぜ春日大社から本殿が移築されたのか、その経緯は未だ謎に包まれています。この謎めいた歴史も、百済王神社の魅力の一つと言えるでしょう。
静寂に包まれた境内と現代への繋がり
境内は静かで落ち着いた雰囲気に包まれており、都会の喧騒を忘れさせてくれます。綺麗に整備された百済寺公園も隣接しており、散策にも最適です。現代においても、地元の人々から大切にされている神社であることが感じられます。
まとめ
百済王神社は、古代の歴史とロマン、そして謎めいた魅力を兼ね備えた、非常に興味深い神社です。 訪れる際には、その歴史背景を想像しながら、静寂な空間に身を委ねてみてください。きっと、忘れられない体験となるでしょう。 そして、隣接する百済寺跡の発掘調査の進捗にも注目です。今後の新たな発見が、百済王神社の歴史をさらに深く解き明かしてくれるかもしれません。
関連リンク・参考文献
[1] 百済王神社(大阪府枚方市中宮) 東大寺大仏の鋳造に功のあった古代渡来氏族・百済王氏を偲ぶ社 – 摂津三島からの古代史探訪
[2] 百濟王神社(特別史跡 百済寺跡)公式ホームページ
[3] アクセス・お問い合わせ – 百濟王神社(特別史跡 百済寺跡)公式ホームページ
[4] 由緒 – 百濟王神社(特別史跡 百済寺跡)公式ホームページ
[5] 百済王神社 – Wikipedia