出石神社:但馬国一宮の神秘と歴史

兵庫県豊岡市出石町宮内にある出石神社は、式内社(名神大社)、但馬国一宮として知られる由緒ある神社です。古くから「一宮さん」と呼ばれ、地元の人々に親しまれています。旧社格は国幣中社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。

天日槍命と但馬開発の伝説

出石神社の主祭神は、伊豆志八前大神と天日槍命です。天日槍命は、『古事記』や『日本書紀』にも登場する新羅の王子で、八種の神宝を携えて日本に渡来したと伝えられています。 彼は但馬の地を選び、泥沼であったこの地を、円山川の河口を塞いでいた岩を自身の剣で切り開き、日本海へと水を流し、現在の豊沃な但馬平野を創造したとされています。この伝説は、出石神社が但馬開発の祖神として崇敬される所以となっています。 5月5日の端午の節句に行われる「幟回し」は、天日槍命が岩を取り除き、宮内へと帰還する様子を表現した伝統行事であり、子供たちの健やかな成長を祈念するものです。

歴史と社宝

創建年代は不明ですが、奈良時代には既に山陰地方有数の大社であったと推測されています。中世には但馬国一宮として多くの土地を領し、山名氏の崇敬を受けました。江戸時代には出石城主の尊崇を受け、社殿の造営が行われました。現在ある社殿は、大正3年(1914年)に再建されたもので、豊岡市指定文化財に指定されています。 また、国宝に指定されている脇差(南北朝時代、銘但州住国光)をはじめ、歴代領主の甲冑や古文書など貴重な社宝が数多く伝わっています。

神秘的な境内と神紋

境内には、本殿の他に摂末社がいくつかあり、天日槍命の妻である麻多島を祀る比賣社などがあります。本殿は三間社流造で、檜皮葺の屋根には鬼桐の紋が見られます。拝殿には菊紋の幕がかけられるなど、神紋にも注目が集まります。境内には禁足地と呼ばれる神秘的な場所もあり、静寂の中で歴史の重みを感じることができます。

アクセスと観光

出石神社は、JR山陰本線豊岡駅から約10kmの場所に位置し、車やバスでアクセスできます。周辺には、出石城跡や出石永楽館などの観光スポットがあり、歴史散策と合わせて訪れるのもおすすめです。

出石神社は、歴史と伝説、そして神秘的な雰囲気を併せ持つ、魅力的な神社です。但馬地方を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 出石神社 – Wikipedia
[2] 出石神社 | 日本の小さな城下町 丹波・丹後・但馬の小京都・出石の観光案内 DAYTRIP出石
[3] 出石神社
[4] 出石神社 | 観光スポット | 【公式】兵庫県観光サイト HYOGO!ナビ | 知っておきたい観光情報が盛りだくさん!

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