京都府大山崎町に鎮座する離宮八幡宮。JR山崎駅、阪急大山崎駅から徒歩圏内のアクセス抜群の立地ながら、その歴史は平安時代初期にまで遡り、数々の歴史的出来事や興味深い逸話を秘めた、奥深い魅力を持つ神社です。
基本情報
- 社名: 離宮八幡宮(りきゅうはちまんぐう)
- 所在地: 京都府乙訓郡大山崎町大山崎西谷21-1
- 主祭神: 八幡大神(応神天皇、神功皇后)、酒解大神、比売三神
- 旧社格: 府社
- アクセス: JR京都線「山崎駅」徒歩約1分、阪急京都線「大山崎駅」徒歩約2分
創建と油との深い繋がり
社伝によれば、貞観元年(859年)、清和天皇の命を受け、僧行教が宇佐八幡宮から八幡神を勧請。当初は「石清水八幡宮」と称され、嵯峨天皇の離宮「河陽宮」の跡地に建立されました。その後、離宮跡に鎮座することから「離宮八幡宮」と改称されたと言われています。
しかし、離宮八幡宮の知名度をさらに高めているのは、その「油祖」としての歴史です。平安時代末期、神官が「長木」という搾油器を発明し、荏胡麻(えごま)油の大量生産を可能にしました。この荏胡麻油は、京の都の朝廷や社寺に灯明油として献上され、離宮八幡宮は油座を組織し、室町時代には油の専売特許を持つほど栄えました。諸国の油商人は、離宮八幡宮の許状なしには油を扱うことができませんでした。境内には、この歴史を伝える「油祖像」も存在します。
歴史の舞台となった離宮八幡宮
離宮八幡宮は、単なる神社としてだけでなく、歴史の舞台としても重要な役割を果たしてきました。かつては南は水無瀬川、北は円明寺に及ぶ広大な境内を誇っていたと言われ、幕末の「禁門の変」では長州藩の屯所となったというエピソードも残されています。
ミステリーと伝説
離宮八幡宮には、いくつかの興味深い伝承や逸話も残されています。例えば、本殿横にある「天神腰掛石」は、菅原道真が座ったと伝えられ、学業成就のパワースポットとして信仰を集めています。また、創建に関する伝承には、神降山に霊光が現れたり、岩間から清水が湧き出したといった神秘的な要素も含まれており、神聖な場所としての雰囲気をさらに高めています。
見どころ
- 本殿: 登録有形文化財に指定されている、歴史を感じさせる荘厳な建物です。
- 天神腰掛石: 菅原道真ゆかりの石で、学業成就を願う人々が多く訪れます。
- 油祖像: 離宮八幡宮と油との深い繋がりを示す、重要な像です。
- 境内社: 複数の境内社が配置され、それぞれに独自の信仰があります。
- 惣門(南門)・東門: 大山崎町指定有形文化財に指定されている歴史的建造物です。
現代への繋がり
現在も離宮八幡宮は、油の神様として、全国の製油会社や油販売会社などから厚い信仰を集めています。社務所では、荏胡麻油(御神油)も販売されています。
まとめ
離宮八幡宮は、単なる神社としてだけでなく、歴史、文化、そして信仰が深く結びついた、魅力的な場所です。大山崎を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その歴史と神秘に触れてみてください。 静かな佇まいの中に秘められた、数々の物語に思いを馳せることができるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 離宮八幡宮 – 大山崎町商工会 京都府大山崎町
[2] <やましろ花だより>大山崎町の離宮八幡宮(りきゅうはちまんぐう)/京都やましろ観光
[3] 離宮八幡宮 – Wikipedia
[4] 離宮八幡宮/大山崎町
[5] プチ大山崎散策 油座の長として栄えたことがある神社(離宮八幡宮 ) | レレレの行ってみたらこんなとこ!
[6] 離宮八幡宮(油祖) | 観光情報 | 京都に乾杯
[7] 離宮八幡宮/大山崎町
[8] https://www.abura.gr.jp/history2016/edo-akari_col01.pdf
[9] (17世紀) 離宮八幡宮旧境内出土の軒丸瓦、下端に金箔が残る/大山崎町
