奈良県生駒郡三郷町立野南に鎮座する龍田大社は、古くから「風の神様」として崇敬を集める由緒ある神社です。旧官幣大社であり、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。本宮と称され、斑鳩町にある龍田神社は新宮と呼ばれています。聖徳太子が法隆寺建立の際に龍田大社に祈願し、落慶後に法隆寺の守り神として御分霊を祀ったのが龍田神社の起源と伝えられています。

創建と伝説

龍田大社の創建は、約2100年前の第10代崇神天皇の時代まで遡ると伝えられています。当時、凶作や疫病が流行していた際に、天皇が夢の中で風神のお告げを受け、龍田の立野に社を造営したところ、豊作となり疫病が退散したという伝説が残されています。この伝説は、龍田大社が「風の神様」として信仰されるようになった起源を示唆しています。

祭神と神徳

主祭神は天御柱命(あめのみはしらのみこと)と国御柱命(くにのみはしらのみこと)の二柱です。別名、志那都比古神(しなつひこのかみ)と志那都比売神(しなつひめのかみ)とも呼ばれ、陰陽を表すペアの神様として知られています。天地間の大気、生気、気、風力を司る神様であり、「風神」として、五穀豊穣、健康長寿、交通安全など、幅広いご利益があるとされています。龍田大社の神徳は、一般的な神社の神徳のように具体的ではなく、抽象的なため、風水の難を除く神様と解釈されることもあります。

歴史と朝廷との関係

天武天皇4年(675年)以降、朝廷から勅使が派遣され、国家の重大事には特別な祭事が行われるなど、皇室からの崇敬が厚かったことが知られています。天武天皇や持統天皇も深く信仰していたと記録されています。また、『延喜式神名帳』には名神大社として記載されており、朝廷の月次祭・新嘗祭で幣帛に預かっていたことがわかります。

元寇と神風

鎌倉時代の元寇において、龍田大社から袋のようなものが飛んでいき、元の船団で大風が起こり、船団を海に沈めたという伝説があります。この伝説は、神風が龍田大社と関係しているという信仰を強め、龍田大社を広く知らしめることとなりました。

境内と見どころ

龍田大社の境内は、陰陽五行説に基づいた造りになっており、境内にはそのメッセージが隠されています。風格ある両部鳥居や、優美な拝殿、本殿、そして摂社・末社など、見どころが満載です。境内には、五色の「風神護符」というお守りも授与されています。また、境内は桜や紅葉の名所としても知られており、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。

アクセス

JR関西本線(大和路線)「三郷」駅から徒歩7~8分、または近鉄生駒線「信貴山下」駅から徒歩15~20分です。

まとめ

龍田大社は、古くからの歴史と伝説、そして「風の神様」としての信仰が深く根付いた神社です。風光明媚な境内と、神秘的な雰囲気は、多くの参拝者を魅了し続けています。 ぜひ一度、龍田大社を訪れて、風の神様のパワーを感じてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] YouTube
[2] 辰年にまつわるパワースポット!奈良・風神を祀る「龍田大社」 | ORICON NEWS
[3] 龍田大社 – Wikipedia
[4] 龍田大社|なら記紀・万葉
[5] 龍田大社 [奈良県]-人文研究見聞録
[6] 龍田大社 奈良県三郷町|奈良県町村会(公式観光情報サイト)
[7] 風神 龍田大社 公式ホームページ | 奈良県三郷町
[8] 龍田大社
[9] 世に調和をもたらす風を祀る|龍田大社|禰宜/稲熊 憲彦 氏|特別講話38|特別講話|祈りの回廊 [奈良県 秘宝・秘仏特別開帳]

By ando