和歌山県かつらぎ町、標高450メートルの天野盆地に鎮座する「丹生都比売神社(にゅうつひめじんじゃ)」。1700年以上の歴史を誇り、ユネスコ世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つでもあるこの神社は、単なるパワースポットという言葉では片付けられない、深い歴史とミステリーに満ちています。
今回は、高野山開創の鍵を握る伝説や、名前に隠された「水銀」の謎、そして意外なアニメとの関わりについてご紹介します。
基本情報
- 所在地: 和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
- 主祭神: 丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)
- 御利益: 厄除け、浄化、諸願成就、導き
弘法大師を導いた「白と黒の犬」の伝説
丹生都比売神社を語る上で欠かせないのが、高野山を開いた弘法大師・空海との縁です。
伝説によれば、空海が真言密教の道場を建てる場所を探して山中を歩いていた際、白と黒の2匹の犬を連れた猟師(狩場明神)に出会いました。この猟師こそが丹生都比売大神の御子神であり、2匹の犬に導かれて空海は現在の高野山に辿り着いたとされています。
この「導きの犬」の伝説は今も大切にされており、境内では毎月16日に、伝説にちなんだ白と黒の紀州犬「すずひめ号」と「大輝(だいき)号」が公開されることもあります。人生の岐路に立つ人が「導き」を求めて参拝するのも、この伝説が由来となっています。
「丹生(にゅう)」の名に隠されたミステリー
神社の名前にある「丹(に)」とは、古来より魔除けや不老不死の薬として珍重された「辰砂(しんしゃ)」、つまり水銀の原料となる赤い鉱石を指します。
丹生都比売大神は、この水銀の採掘に携わる人々(丹生一族)が祀った女神であるという説が有力です。かつてこの地域は水銀の産地であり、その希少な資源を背景に強大な力を誇っていました。
東大寺の大仏を黄金に輝かせるための鍍金(メッキ)にも、この地の水銀が使われたという裏話があります。神社のシンボルである美しい朱塗りの楼門や鳥居の「赤」は、まさにこの「丹」の色であり、災厄を祓う強力なエネルギーの象徴なのです。
鏡池に浮かぶ「謎の島」と八百比丘尼
境内の美しい「輪橋(太鼓橋)」が架かる鏡池には、一つのミステリーがあります。池の中に石積みの小さな島があるのですが、実は神社の公式な案内図や由緒書きにも、この島が何を祀っているのか明記されていないことが多いのです。
一説には、人魚の肉を食べて不老不死になったという伝説の尼僧「八百比丘尼(やおびくに)」が、自分の変わらぬ姿を嘆いて鏡を投げ入れた場所とも言われています。神職の方に尋ねても「はっきりしたことは分かっていない」とされるこの島は、訪れる者の想像力をかき立てる隠れたスポットです。
アニメの聖地巡礼情報:『のんのんびより』
丹生都比売神社がある「かつらぎ町」は、人気アニメ『のんのんびより』の舞台(モデル地)の一つとして知られています。
作品ののどかな田舎風景のモデルとして、この天野の里周辺の景色が参考にされており、ファン(通称:難民)の間では聖地巡礼の重要スポットとなっています。特に神社へと続く道や、周囲の盆地の風景は、アニメの世界観そのままのノスタルジックな雰囲気が漂っています。
参拝のポイント
高野山へ登る前に、まずこの丹生都比売神社に参拝するのが古くからの習わしです。これを「片詣り」にならないための作法と呼び、神仏習合の深い精神性を感じることができます。
美しい朱色の橋を渡り、静寂に包まれた天野の里で、あなたも「人生の導き」を感じてみてはいかがでしょうか。
関連リンク・参考文献
[1] ご祭神 | 丹生都比売神社
[2] 女神、水銀そして縄文・その2 〜丹生都比売(にゅうつひめ) | アルカイック・ハウス
[3] 丹生都比売神社・語られぬ不可解な謎 – 神秘と感動の絶景を探し歩いて Beautiful superb view of Japan
[4] ご神犬すずひめ号と登る世界遺産高野参詣道 | 丹生都比売神社
[5] 丹生都比売神社 – Wikipedia
[6] 丹生都比売神社の伝承 | 丹生都比売神社
[7] 聖地五芒星巡り⑤「丹生都比売神社」 | くりたまのブログ
[8] ご由緒 | 丹生都比売神社
[9] 丹生都比売神社が不思議すぎる理由とは?スピリチュアルな魅力を解説 – 和歌山リーマンブログ
[10] 水銀の女神『ニウツヒメ』 前編 | 斎藤考
[11] 丹生都比売神社の不思議な魅力と龍神・瀬織津姫の関係とは?
[12] 丹生都比売神社のご神犬が二頭となりました⛩|高野山法徳堂/空海と高野山の魅力を独自の視点で伝えています。
[13] ご神犬 | 丹生都比売神社
[14] 近アニ アニメ聖地巡礼レポ その1 ~AIR&のんのんびより編~|近畿大学アニメ同好会
